連続インタビュー「心の社会性」
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第1回
心のあり方を知れば、よりよい社会の作り方が見えてくる
文学研究科行動システム科学講座教授、社会科学実験研究センター長  山岸俊男
-- 社会心理学と心理学は、どう違うのですか?
山岸教授写真 「社会心理学」は、人間が自分をとりまく社会の中でどのような行動をとるか、どんな意識をもつのかという、「社会の一員でありながら、社会を作り出す存在としての人間」を調べる学問です。一人の人間だけを見て心の動きを知るふつうの「心理学」とはちょっと違う。もちろん占いやTVで放送される「心についての不思議なお話」とも違いますよ(笑)。
-- 人間の心はどんな役割をもつのでしょうか?
 動物は、環境に適応しようとしていろいろな行動をとるようになってきた。私は、人間の心の動きも同じように環境に適応してできあがってきたと考えています。そして重要なのは、そうした人々の心の働きが社会をつくっている点です。たとえば、一定の秩序やしくみというのは、人間が社会の中で常に他人の心を読み、「自分がこうしたら、それに対して他の人はこうするだろう」と判断して行動することでできてきます。
私は、人間の心とは、自分たちが作り出した社会環境へ適応するための“道具”だと考えています。一方で、その道具を使って私たちは社会を作りだしています。そして、道具が違えば できあがる社会も違ってくるし、反対に社会が違えばそこで役に立つ道具も違ったものになるでしょう。つまり、心と社会とはお互いに相手を作り出しているのです。
-- 人間の心の性質を知ることで、何が期待されますか?
 人間は「利他性」や「互恵性」を持っているのが特徴です。利他性とは自分にとっては不利益であっても他人にとって利益となることをあえてする性質、互恵性とは「お返し」をする性質をいいます。人間は合理的に自分の利益だけを優先して行動するのではないのですね。なぜ、このような性質を持つようになったのでしょうか。私たちはみんな、よりよい社会を作りたいと思っています。しかし、どうすればよいのか、その方法がわからない。けれど「利他性」や「互恵性」をもつ人間の心の性質がわかれば、この問題を解決できる可能性があります。だから、「人間の心の性質を理解することが必要」なのです。
-- 先生の研究には実験が欠かせないそうですね
 人文学、社会科学といった、いわゆる“文科系”の研究は、本を読むことばかりと思われがちですから、社会科学の分野もこれまで実験とは無縁だと考えられてきました。しかし、人間の行動を知るには実験が必要です。私たちは、社会科学実験センターという施設でいろいろな実験をしています。時には海外と回線で結んで実験することもあるんですよ。こうした実験では、コンピューターを使ってさまざまな環境や条件を設定し、参加者がどのような反応や行動を示すかを記録します。
私たちの研究には目に見えるモノがありませんが、科学的なデータやモデルを示すことはできます。私は「社会科学は今はじめて科学になりつつある」と感じているんです。社会科学に対するみなさんのイメージを変えたいですね。
メモ
文学研究科行動システム科学講座 山岸ゼミ
大学院生6名、ポスドク1名
他己紹介
 山岸先生は行動的で、いつも新しいことを考え出されます。お互いに刺激しあう関係ですね。大学にいらっしゃる時間がとても長いのにも驚かされます。
(文学研究科行動システム科学講座 亀田達也)
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