※本ワークショップは、特定領域研究「実験社会科学―実験が切り開く21世紀の社会科学」
との共催で行われました。
スピーカー: 辻本昌弘(東北大学)、 若野友一郎(明治大学)
日時: 2008年3月9日(日) 13:00~18:00
場所: 東京工業大学 田町キャンパス(附属科学技術高等学校)キャンパスイノベーションセンター
参加者: 亀田達也、中丸麻由子、神信人、高橋伸幸、石井敬子 (計7名)
内容:
辻本昌弘先生(写真左)は、「地域社会の事例による社会的交換の検討」 というタイトルで、アルゼンチン移民と沖縄における講集団、そして講集団とは対極の互恵関係を維持している北部ケニア・トゥルカナでの聞き取り調査について発表しました。アルゼンチン移民と沖縄における講集団では、面識関係による参加者選抜を行っているものの、講集団を形成する人々が置かれている状況の性質上、貧しい人々ほど掛け金を支払うことができず、フリーライダーとなってしまいます。しかし、講集団はおおむねこうしたフリーライダーには寛容であることが聞き取り調査からわかりました。実験室実験やモデリング研究では、いかにフリーライダーを排除することに焦点が置かれているのに対し、こうした事例はそういった観点からは逸脱するもので、そのずれに関して興味深い議論が交わされました。若野友一郎先生(写真中)は、 「社会学習と同調伝達は共進化するか?~Henrich & Boyd(1998)を再検討する~」というタイトルで、 ある周期で環境が変動する場合における、生得的行動、社会学習、個体学習の3つの戦略の適応度に関した数理解析を紹介されました。解析の結果からは、1)社会学習と生得的行動は母集団に共存し得ないこと、2)社会学習はあくまでも個体学習を基盤としてその上に成立することなどが明らかにされました。そしてHenrich & Boyd (1998)が行った同種の数理解析の問題点を指摘し、彼らが呈示したモデルの修正版を示しました。
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