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第6回国際ワークショップ
“Cultural influences in cognition and emotion”

※本ワークショップは、特定領域研究「実験社会科学―実験が切り開く21世紀の社会科学」 、北海道大学社会科学実験研究センターとの共催で行われました。

スピーカー: 増田貴彦 (University of Alberta, Canada), Oona Cha (Chung-Ang University, Korea), 小宮あすか (京都大学)

日時: 2007年12月26日 (水曜日) 15:00~18:15

場所: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟 W308

参加者: 山岸俊男、亀田達也、結城雅樹、高橋伸幸、石井敬子、竹澤正哲、他14名 (計20名)

内容:

発表 1: Oona Cha
“Thinking “I” versus “we”: Cognitive consequences of independence versus interdependent self-construals”


Oona Cha博士は、ソウル大学卒業後、ミシガン大学のNorbert Schwarz教授やDaphna Oyserman教授の指導のもとでPh.Dを取得し、現在Chung-Ang Universityで精力的に文化・比較文化心理学の研究をされています。これまで数多くの知覚や思考の文化差が北米と東アジアにおいて示されており、それらの文化差は文化的自己観の違いによって説明がされてきました。しかし、博士は文化的自己観の影響が比較文化心理学研究において明確にされてきていないとの観点より、それを明確にするべく研究をおこなってきました。本ワークショップでは、私(I)と私たち(We)を韓国人にプライミングした4つの異なる課題(①ストループ課題②位置記憶課題③文字認識課題④フレームライン課題)の研究をご紹介頂きました。「私」をプライムされた実験参加者群は、文脈独立的課題のパォーマンスが向上したのに対して、「私たち」をプライミングされた群は文脈依存的課題のパォーマンスが向上するという結果でした。また、性別の効果が示され活発な議論がなされました。

発表 2: 小宮あすか
“How do you feel regret?: Cultural dependency and independency of regret”


小宮あすかさんは、京都大学教育学研究科に所属し、感情認知、特に後悔の研究を比較文化的に研究しています。近年の比較文化研究は、知覚や思考の他にも、数多くの感情の文化差を示しています(e.g. Uchida et al., 2004)。米国と日本における2つの比較文化研究を通じて、認知的感情としての「後悔」の認知過程の普遍性および文化特異性を検証した結果をご紹介頂きました。まず、日常経験における個人的な後悔と対人関係における後悔の状況を収集し、そして状況サンプリング法を用い、そのようにサンプリングされた状況を異なった日米の参加者群に示し、どの程度後悔を感じるかを測定しました。米国人も日本人も、後悔を接近-回避の軸を使って同様に評価したものの、とりわけ個人状況において、米国人はそれが接近に関連している際に後悔をより強く感じたのに対し、日本人では接近と回避のいずれに対しても同様に後悔を感じたという文化差が示されました。

発表 3: 増田貴彦
“Language acquisition and its innateness: Re-considering cultural universals and specificities of language”


増田貴彦博士は、文化心理学における知覚研究の若手研究者の1人として有名です。現在はカナダのアルバータ大学で教鞭を取り、様々な角度から精力的に文化心理学研究をされています。今回のワークショップでは言語習得の研究の歴史・背景、そしてどのような議論がなされてきたかを紹介頂きました。言語習得は生物学的に本当に先天的なものなのか(e.g. Pinker, 1994)、もしくは後天的に学習されるものなのかについて(e.g. Tomasello, 1993)、文化の影響を交えた博士の意見と共に非常に活発な議論が展開されました。また、今後の言語習得に関する研究の方向性についても議論がされました。



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