Seminar

論文紹介(中田・藤田)

竹澤ゼミ博士課程の中田さんが、先週に引き続き論文紹介をしました。

また、学部3年の藤田くんが論文紹介をしました。

 

On aims and method of Ethology

「動物行動学の目的と手法」

Tinbergen, N.(1963).Zeitschrift für Tierpsychologie, 20, 410-433.

動物行動学とは、コンラート・ローレンツが皮切りとなり、またコンラート・ローレンツによって一つの科学分野として認められた学問である。私は本論文にて、動物行動学が取り扱っている範囲について評価し、またローレンツを”動物行動学の父”たらしめているものとは何であるのかについて明らかにすることを試みる。以下のような理由から、私にはこれらの試みには意味があると思われる。まず理由の一つとして、動物行動学とは何であるのかという一貫した”パブリックイメージ”が動物行動学者でない人たちの間だけでなく、動物行動学者の中でも形成されていないことが挙げられる。ある者は、動物行動学を「動物の行動の要因を研究する学問だ」と言い、またある者は「動物の生得的行動を研究する学問だ」と言い、またある者は「動物好き達の活動だ」と言う。もう一つの理由として、我々の学問が統一科学とは程遠いという事実が挙げられる。明確な研究目的もなく、目的に対する適切なメソッドも持ち合わせていない。動物行動学の将来の発展のためには、私たちが答えようとしている問いとは一体何であるのかについて明らかにする必要がある。我々の考えがまだ固まっていないことも、また多くの人が私の言うことに反対する可能性があることも重々承知の上で、今からこの問題について議論しようと思う。しかし、この学問が、分裂したサブサイエンスに成り下がらないためにも、我々はこの問題について考え続けなければならない。また、ローレンツを称えるというのは、この”soul-searching”を続けることに他ならないとも私は信じている。たとえ、軽率だ、無謀だと非難される恐れがあるとしても、私が自分の意見を述べるのに二の足を踏むことはない。(藤田)

開講日 | 2021年12月01日 13:00 ~ 16:30 場所 | E304