Seminar

卒論分析相談(吉岡)、論文紹介(中田)

学部4年の吉岡くんが卒業論文の分析についての相談を、竹澤ゼミ博士2年の中田さんが論文紹介をしました。

 

Theory of mind in animals: Current and future directions
「動物における心の理論:現状と今後の方向性」

Krupenye, C., & Call, J. (2019). Wiley Interdisciplinary Reviews: Cognitive Science10(6), e1503.
https://doi.org/10.1002/wcs.1503

心の理論 (Theory of Mind:ToM) とは欲求や信念などの心的状態を他者に帰属させる能力であり、ヒトという種を特徴づける特有のコミュニケーション・協力・文化の中心的な要素である。そのため、研究者たちは40年前から、ToMが人間に特有のものであるかどうかを明らかにしようとしてきた。この能力の仕組みや進化的な起源を理解するためには、他の種 (類人猿、サル、カラスなど) での調査が不可欠である。本論文では、人間以外の動物のToMに関する文献をレビューし、いくつかの種が人間と社会的認知の基本的なメカニズムを共有していることを示唆する。ここでは主に、過去10年間の研究成果と、今後の研究の方向性について述べる。例えば、欲求や信念などの心的状態の帰属には、自分と他人の相反する動機や世界観を同時に表現する必要があるが、このような社会的認知はこれまであまり調べられてこなかった。現在は、ToMの動機づけの側面、動物が社会的認知能力を協調的・競争的な環境でどのように柔軟に活用できるか、比較研究に適した動機づけの文脈などが調査されている。最後に、新しい方法論と実証的なアプローチにより、新しい種 (キツネザル、イヌなど) を実験室に持ち込み、基本的なメカニズムを解明するための重要なコントロールや強力な新しい技術 (注視時間、アイトラッキングなど) を提供して、動物の心を研究するための未踏のアプローチへの扉を開いた。このような認知、動機、手法の革新は、人間や他の種におけるToMの性質や起源を理解する上で、今後の実りある進展を約束するものである。(中田)

開講日 | 2021年11月24日 13:00 ~ 16:30 場所 | E304