Seminar

論文紹介(田中・宮川)

4年生の田中さんと3年生の宮川さんが論文紹介をしました。

Walk with me? Part 2: Dogs synchronize with an unfamiliar person who first synchronized with their owner
一緒に歩こう?第2部:イヌははじめに飼い主と同調した見知らぬ人と同調する
Lamontagne, A., Legou, T., Bedossa, T., & Gaunet, F. (2024).Applied Animal Behaviour Science275, 106271.
要旨
イヌは自分に対する人間の行動に関して敏感であることが知られているが(第1部参照)、第三者間の人間の相互作用、つまり盗み聞きや間接的な感受性についてのイヌの反応は不明である。本研究は、食べ物の報酬がない自然な環境における、イヌの間接的な感受性を調査することを目的とした。そこで我々は、屋外環境において同調散歩中の飼い主と見知らぬ人との相互作用に対するイヌの反応性を調べた。具体的には、飼いイヌを2つの実験群に分け、一方の群では見知らぬ実験者が飼い主と1メートルの距離を保ちながら速度を合わせて15分間一緒に歩き会話をした( n = 16匹のイヌ )。もう一方の群では、見知らぬ実験者が飼い主から離れて15分間過ごした( n = 16匹のイヌ)。その後、イヌと実験者が直線歩行し、その間の実験者とイヌの歩行の同調性、イヌの視線行動を比較した。実験者が飼い主と交流したイヌは、直線歩行中に実験者と位置、時間、活動においてより高い同調を示した。具体的には、この実験群のイヌはより実験者に近づいた。そして、直線歩行開始時の実験者の速度との差がより小さく、実験者の速度変化にすぐに対応するイヌの割合が多かった。一方で、イヌの視線行動については、2つの実験群間で有意な差は見られなかった。最後に、どちらの実験群のイヌも直線歩行中に飼い主に引き寄せられることが分かった。これらの結果は、イヌが見知らぬ人と行動を同調させるのは、飼い主と見知らぬ人との間の行動の同調をイヌが知覚した後であることを初めて実証した。この第三者への感受性は、認知された行動を自動的に再現するプロセスから生じる可能性があり、イヌが2人の人間の同調行動を知覚した際の種間運動伝染を示唆している。または、見知らぬ人がイヌの飼い主との相互作用を通じてイヌに間接的に親しい存在となる、親しみの伝達を示唆している。これらの発見は、見知らぬ人がイヌと交流する前にまずイヌの飼い主と同調して話をすることで、見知らぬ人とイヌ・飼い主のペアとの出会いをより良くする可能性があるという実用的な意義を持つ。(田中)
 
Call of the wild: Parrot Engagement in Live vs. Pre-recorded Video Calls
Hirskyj-Douglas, I., Cunha, J., & Kleinberger, R. (2024).Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1-14).
要旨
動物インターネットの概念は花開き、多くの概念は、動物をオンラインでつなぐことが彼らの社会生活を豊かにする可能性があるという前提から進んでいる。しかし、私たちはまだ、オンライン上の相互作用(ライブまたは事前録画の素材のいずれか)が動物が他の動物とどのように関わるかにどのように影響するか、あるいはそれがどのように影響するかさえわかっていない。私たちは、オウムが他の鳥とライブビデオ通話を開始したり、事前録画されたビデオ通話を再生したりするシステムを導入した。その目標は、関与や行動の違いを特定することであった。6ヶ月の研究の結果、オウムは事前録画通話と比較して、オンラインライブ通話を有意に多く使用し、その環境ではより長く関与した。一方、動物の世話をする人々は後者により多くの価値を見出したが、自分が世話をしている鳥に対してはライブの代替方法を好んだ。これらの結果は、動物がオンラインのリモート接続をどのように捉えているかを問いインターネットが動物の経験にどのように影響するかを考慮することを提案している。(宮川)

開講日 | 2024年06月12日 13:00ー16:15 場所 | E304