Seminar

論文紹介(富所)・院ゼミ発表検討会(馬場)

Social buffering of the stress response: Diversity, mechanisns, and functions
「ストレス反応の社会的緩衝:多様性、メカニズム、機能」
Henessey, M. B., Kaiser, S., & Sachser, N. (2009) Frontiers in neuroendocrinology, 30, 470-482 doi:10.1016/j.yfrne.2009.06.001

視床下部-下垂体-副腎系 (HPA) の活性化が長引いたり、繰り返されたりする症状は、様々な身体及び精神病理学と関係している。1970年代にまでさかのぼる研究は、社会的仲間の存在がストレッサーに対するHPAの反応を緩和する多くの事例を実証してきた。しかし、HPAの「社会的緩衝 (social buffering)」 が観察されない事例も多くある。その文献での検討は、個体間の関係の特性がHPAの社会的緩衝作用が起こるか否かを決定するのに重要であることを示している。直接、または社会的関係に影響することによって社会的緩衝に影響を与える他の要因は、種の社会的構成、以前の経験、性別、社会集団への統合、個体が経験する発達段階を含む。近年の証拠は、社会的緩衝が1レベル以上のCNS(中枢神経系)上で活動するメカニズムを含んでいることを示唆している。このことは、社会的緩衝は健康促進に加え、社会的関係の構築に直接的に発展し、異なる生命段階に適した社会的相互作用における発達の移行を促進してきたかもしれないことを示唆している。(馬場)

Dogs Can Discriminate Emotional Expressions of Human Faces
「イヌはヒトの表情を弁別できる」
Müller, C.A., Schmitt, K., Barber, A.L.A., & Huber, L. (2015) Current Biology, 25, 1-5 doi:org/10.1016/j.cub.2014.12.055

動物が感情を持ち、他者の感情表現に反応するかどうかは、過去10年間で研究の焦点になっている。しかし、今日まで、動物が異種の感情表現を区別することは、単純な手がかりに反応する可能性を除いて、説得的に示された研究はない。本研究では、イヌが異種の感情を弁別の手がかりとして使用することを示す。ヒトの喜んでいる顔と怒った顔を15枚の写真のペアで区別することを学習した後、​一方のグループには顔の上半分だけが示され、他のグループについては顔の下半分が示された。イヌは4種類の試行でテストされた:(1)トレーニングと同じ半分だが新奇のヒトの顔(2)トレーニングに使用された顔の残りの半分(3)新奇の顔の残りの半分(4)トレーニングで使用された顔の左半分。私たちは、喜んだ顔を選んで報酬を得られたイヌが、怒った顔を選んで報酬を与えられたイヌよりも素早く弁別を学習したことを発見した。これはイヌが怒り顔を嫌悪として認識したことを示唆する。さらに、イヌは4つの条件すべてにおいてチャンスレベルを大幅に上回り、弁別の特徴として表情だけがトレーニングと共通している新奇刺激に対して、表情弁別のルールを般化させた。私たちは、イヌが弁別課題を達成するためにヒトの感情的なの顔の記憶を使用したと結論づけた。(富所)

開講日 | 2017年11月29日 14:45~18:00 場所 | E304