Seminar

卒論検討会(小原)・院ゼミ発表検討会(川瀬)

Classifying dogs’ (Canis familiaris) facial expressions from photographs
「イヌ (Canis familiaris) の表情を写真から分類する」
Bloom, T., & Friedman, H. (2013) Behavioural Processes, 96, 1-10. doi.org/10.1016/j.beproc.2013.02.010

ヒトは、他者の情動ある表情を、正しく読み取ることができる。ヒトのイヌの表出を読み取る能力について調べた研究は少ない。種間研究は、表情の研究をチンパンジーまで拡張した。また、ヒトに対するイヌの聴覚シグナルの研究はたくさんなされている。イヌの表情の同定に関するヒトの能力を調べるために、特定の情動を引き出すと期待される、行動的に定義された条件の下で、イヌの顔の写真は撮られた。イヌの専門家たちは、これらの写真を一貫して評価した。専門家によって最適であると評価された写真が、イヌに対して接触経験のある人と接触経験のない人に対する刺激として用いられた。どちらのグループも、イヌの情動を読み取ることができた。逆説的に言えば、接触経験のある人は、攻撃性をより正しく読み取らなかった。また、接触経験のある人は、行動的に定義された状況の同定をよりしていた。行動的に一貫し、標準化された写真を用いる研究が推奨される。(川瀬)

Human listeners are able to classify dog (Canis familiaris) barks recorded in different situation
「ヒトは異なる状況で録音されたイヌ (Canis familiaris) の吠え声の分類をすることができる」
Pongrácz, P., Molnár, C., Miklósi, Á., & Csányi, V. (2005) Journal of Comparative Psychology, 119(2), 136-44. doi :10.1037/0735-7036.119.2.136

筆者らは、ヒトが様々な状況で録音され、再生されたイヌ( Canis familiaris )の吠え声を分類できるか、また、それらを、情動的な評価と結びつけて考えることができるかを検討した。事前に録音された、ハンガリー原産の犬種の群れの吠え声が、サンプルであった。ヒトは、音声の情動を評価し、アンケート用紙にある状況の選択肢に基づいて、状況を分類するよう求められた。筆者らは、イヌを育てたり、飼ったり、といった以前の経験が、ほとんど効果がないことを明らかにした。聴き手は、チャンスレベルよりはるかに、吠え声の状況の分類をすることができた。特定の吠え声サンプルの情動的評価は、ピーク周波数と基本周波数、吠え声の間隔と相関していた。ヒトによる、情動的評価や状況分類のどちらも、調性(倍音と雑音との比率)の効果が有意ではなかった。意味を認識するヒトの能力は、吠え声が、イヌとヒトの間のコミュニケーションの効果的な手段として、役に立ちうることを、示唆している。(川瀬)

開講日 | 2017年11月22日 14:45~18:00 場所 | E304