Seminar

論文紹介(馬場)

Face pictures reduce behavioural, autonomic,endocrine and neural indices of stress and fear in sheep 
「ヒツジにおいて、顔写真は、ストレス・恐怖の行動的、自律神経的、内分泌的、神経指標を減少させる」
da Costa, A.P., Leigh, A.E., Man, M.-S., & Kendrick, K.M. (2004) .
Proceeding of the Royal Society B271, 2077–2084 doi:10.1098/rspb.2004.2831

感情は、高度に感情的刺激で、幼い赤ちゃんでさえ笑顔や見知った顔を、魅力的かつ慰めのように感じる。ヒツジのように、精巧な顔の認知能力をもつ他の動物も見知った顔の感情的意味に反応するだろうか?本研究では、ヒツジが社会的孤立を経験した時に、ヤギの顔写真や、逆さまの三角形に比べ、見知ったヒツジの顔写真があるときに、ストレスの行動的(活発性、抗議的発声)、自律神経的(心拍数)、内分泌的(コルチゾール、アドレナリン)反応を有意に減少させることを報告する。顔の処理に特化した脳領域内(側頭葉、内側前頭皮質、篇桃体基底外側部)と、感情統制に特化した脳領域(眼窩前頭皮質、前帯状皮質)の活動依存的遺伝子 (c-fos and zif/268) のmRNA表出を増加させ、ストレス反応に関連する脳領域(室傍核)と恐れに関する脳領域(篇桃体中心核、篇桃体外側核)におけるmRNA表出を減少させた。顔認知、感情統制、恐怖中枢における影響は、右脳半球によって統制される。本研究の結果は、顔写真が、ヒツジや、もしかするとヒトを含む他の動物における回避不能な社会的孤立によるストレスを緩和するのに役立つ証拠を提供している。ヒツジにおいて、ヒトと同様に、ネガティブな感情の統制に右脳半球の関係しているようだという発見は、脳の感情システムの機能的側性化が哺乳類に一般的な特徴であることを示唆している。(馬場)

開講日 | 2017年10月25日 14:45-18:00 場所 | E304