Seminar

論文紹介・研究相談会(川瀬)

Segregation of information about emotional arousal and valence in horse whinnies
ウマのいななきにおける情動覚醒度と情動価に関する情報の分離)
Briefer, E. F., Maigrot, A-L., Mandel, R., Briefer Freymond, S., Bachmann, I., Hillmann, E.  (2015).
Scientific Reports,4, 9989.

情動に関連した音声を研究することは、種間比較を通した情動表出の進化の理解をよりよくするために、重要である。情動は、2つの主要な要因で構成されている。それは情動覚醒度(平静vs興奮)と情動価(ネガティブvsポジティブ)である。これらの二つの要因は、異なる音声要素(情報の分離)であるか、情動覚醒度と情動価との間で、トレードオフを引き起こす同じ要素かに、符号化されるだろう。これらの2つの仮説について、ウマを用いて検討した。ウマを5つの状況において、いくつかの覚醒レベルと、ポジティブ並びにネガティブの情動価を引き起こさせた。実験の間に収集された生理指標と行動指標は、情動の根底にある異なるものを示唆した。第一に、詳細な音声分析によって、全てのいななきは、2つの基本周波数(F0とG0)が含まれていることを、明らかにした。これは調和関係ではなく、二重発声であることを示唆している。第二に、F0とエネルギースペクトルは覚醒度を、G0といななきの長さは、情動価を符号化することを明らかにした。本研究は、ウマのいななきの情動覚醒度と情動価の手がかりが、異なるものに分離されている、つまり独立した要素であることが示した。筆者らが観察した、音声の情動に関連した変化のほとんどは、ヒトと他の種において観察されたものと類似しており、情動の音声表出は、進化の間ずっと保たれ続けていることを、示唆している。(川瀬)

開講日 | 2017年06月21日 14:45-18:00 場所 | E304