Seminar

後期ゼミ9回目 論文紹介(田中・馬場)

論文紹介(田中・馬場)

Interpersonal synchrony increases prosocial behavior in infants
(幼児における個人間の同調は向社会行動を増加させる)
Cirelli, L.K., Einarson, K. M. and Trainor, L. J. (2014)
Developmental Science, 17, 1003-1011.

同調しないのとは対照的に、音楽のビートに同調して一緒に動く大人はその後、お互いに向社会行動を示す傾向がある。幼少期の音楽行動の発達は、以前から言及されてきたが、幼少期のそのような行動の社会的影響はほとんど調べられてこなかった。実験1では、14か月の幼児48人各人が、実験者と向き合っている間、アシスタントに抱かれ、やさしく音楽に合わせて弾まれた。実験者は幼児が弾まれている方法と同調的にあるいは非同調的に弾んだ。それから実験者が”誤って’落としたものを拾って助ける機会のある状況に幼児は置かれた。非同期的に弾まれた幼児よりも、同期的に音楽に合わせて弾まれた後の方が利他行動をするようになり、実験者を助ける傾向にあると我々は発見した。逆位相の弾みを使用した実験2の結果では、対称性の動きとは対照的に、同調的動きの偶発性(contingency)によるものだと示した。これらの発見は個人間の動きの同調はグループメンバー内の社会的絆を促進する音楽的関与の1つの鍵となる要素なのかもしれないという仮説を支持する。そして音楽への運動の同調は利他行動の非常に初期の発達を促進する可能性を示す。(田中)

Laterality and emotions: visual laterality in the domestic horse (Equus caballus) differs with objects’ emotional value.
(ラテラリゼーション(左右差)と感情:ウマにおける視覚的なラテラリゼーションは物体の感情価によって異なる)
De Boyer Des Roches A, Richard-Yris MA, Henry S, Ezzaouïa M, Hausberger M. (2008)
Physiology and Behavior, 94, 487-90.

ここ十年、感情のラテラリゼーションは人間と動物の両方において大きな注目を受けてきたが、知覚処理における側方のバイアスにはほとんど関心がもたれていなかった。この研究では、二つの広い単眼視覚と、視覚の全交叉をもつ大型哺乳類種であるウマの視覚的・嗅覚的探索における刺激の感情的価値の影響を調査した。38固体のアラブ種を、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルな感情的価値をもつ3つの物体に対面させた。その結果から、物体のもつ感情的な価値による、探査の程度と、視覚探査における明確な(左脳―右脳間の)不均整が明らかになった。新しい物体を探索するとき、ネガティブな物体に対しては、左目を使う傾向がわずかにあったのに対し、新規物体を探索する際にはウマは好んで右目を使った。ポジティブな価値を持つ物体に対しての不均衡を示す証拠はなかった。嗅覚探査でも不均衡な傾向が観察された。今回のデータは、ウマの、新しいものに対する評価における、ほかの脊椎動物も同様の左半球の役割と、ネガティブな感情への反応過程における右半球の役割の可能性を強固にした。今回の発見は、ポジティブな感情の過程における、両球の重要性も示唆した。本研究は、筆者の知る中では、初めて刺激の感情的価値が、特定の視覚ラテラリゼーションパターンを誘発することを実証した。(馬場)

開講日 | 2015年12月08日 4・5限 場所 | E304