論文および研究紹介(倉田)・卒業研究についての相談(舟根)
3年生の倉田さんが論文紹介および研究紹介を行い、みんなで議論しました。また、3年生の舟根さんが卒業研究の相談を行い、みんなで議論をしました。
Emotional Contagion From Humans to Dogs Is Facilitated by Duration of Ownership
イヌからヒトへの情動伝染は飼育期間によって促進される
Katayama et al., (2019) Front. Psychol. 10:1678.
DOI: 10.3389/fpsyg.2019.01678
要旨
情動伝染とは、高度な心理的機能を必要としない原始的な共感形態である。最近の研究では、情動伝染はヒト間だけでなく様々な動物種で見られるということが分かっている。イヌは、家畜化された動物の中でも最も歴史が長く、ユニークな動物である。イヌはヒトと30000年以上前から共存しており、ヒトと絆で結ばれたパートナーとしてヒトの社会にも織り込まれてきた。イヌは、ヒトらしいコミュニケーション能力と、家畜化の結果からか、ヒトの感情を読み取る能力を獲得した;よって、ヒトとイヌの間に情動伝染があるということは現実的に可能であると考えられる。しかし、その間の情動伝染をより高い時間分解で測定することは未だ行われていない。今回は、感情に反映する心拍変動(HRV)を使い、飼い主を心理的ストレス条件下に置いた時のイヌとヒトの情動反応を評価した。結果、心拍 (R-R) 間隔の相関係数(RRI)、全RR間隔の正常心拍間隔の標準偏差(SDNN)、そして隣接したRR間隔の差の二乗和の平均値の平方根(RMSSD)はイヌの飼育期間と正の相関があった。また、コントロール条件下ではイヌの性別もRRI、SDNN、RMSSDの相関係数に影響を与え、メスの方が強い値を示した。これらの結果から、飼い主からイヌへの情動伝染はメスイヌに起こりやすく、情動伝染の有効性を誘発する重要な要因の一つは同じ環境を共有する時間であることが示唆された。
開講日 | 2024年12月04日 13:00~16:45 場所 | E304