論文紹介（中村凜）・卒論研究についての相談（田中）

M1の中村さんが論文発表をしました。また、３年生の田中さんが卒業論文の計画について相談し、みんなで議論しました。

Show me your best side: Lateralization of social and resting behaviors in feral horses.
André B. da Cruz, Satoshi Hirata, Manuel E. dos Santos, Renata S. Mendonça.  (2023).   Behavioural Processes. 206
DOI: 10.1016/j.beproc.2023.104839

Abstract
様々な種において、社会的・非社会的相互作用における様々な感覚的・運動的非対称性を示す証拠が増えつつあるが、これは脳による情報の側方処理を示すものである。本研究では、三脚とドローンに取り付けたデジタルビデオカメラを用いて、ポルトガル北部に生息する再野生化ウマ（Equus ferus caballus）の個体群（37頭が8つのハーレム群に編成されている）において、社会的行動パターンの頻度と持続時間における側方化を調査した。親和的相互作用（グルーミングを含む）は、受け手が右側に位置するほど頻繁に行われ、より長く持続した。横臥位（動物が横になっている状態）では、左側を下にしたほうが長く続いた。社会的行動において右側の傾向があったという結果は、AhernとSchwartz(1979)が提唱した感情価特異仮説、すなわちポジティブな感情や所属行動には左脳が優位であるという仮説を部分的に支持するものである。左側を下にした横臥位の休息が長いのは、同調のためである可能性がある。しかし、いずれの場合も、側方化は状況に依存する可能性が議論されている。再野生化したウマ科動物における社会的行動の位置的非対称性を調査することによっては、生態学的および進化的観点から、側方化と左右脳の特化に関する理解を深められるだろう。（中村）

開講日 | 2023年12月13日 13:00-15:30 場所 | E304