論文紹介(林)・卒論についての相談(中村大斗)
3年生の林くんが論文紹介をしました。また、4年生の中村くんが卒業論文の実験手続きについて相談し、みんなで議論しました。
Differences in Mother-Infant Bond and Social Behavior of African Elephant Calves Living In Situ and Ex Situ
動物園のアフリカゾウと野生のアフリカゾウにおける、母子の絆と社会行動の違い
Hoerner, F., Rendle-Worthington, J., Lawrenz, A., Oerke, A. K., Damerau, K., Borragán Santos, S., … & Preisfeld, G. (2023). Animals, 13(19), 3051.
DOI: 10.3390/ani13193051
Abstract
安全な環境で育つ動物園のアフリカゾウ(Loxodonta afiricana)と野外で育ったアフリカゾウでは、環境の違いにより子ゾウの行動が変化する可能性がある。また、子ゾウは親の社会行動を学習するため、こうした違いが世代を重ねるにつれて増加する考えられる。この2つの仮説を検証するために、子ゾウを野生のゾウ、動物園初の子ゾウ(F1)、2代目(F2)の3つに分類し、子ゾウの社会行動とその他一般的な行動、および母親から離れた距離を比較した。動物行動学的手法を用いて、0.5歳から4歳までの年齢の、野外の子ゾウ約90頭と動物園の子ゾウ16頭(F1 8頭、F2 8頭)を対象に、120時間観察した。結果、野外の子ゾウが母親に近くにいる時間が、F1およびF2の動物園世代よりも有意に増加した。また子ゾウが起こす親和行動や敵対行動の量と分布も、飼育下で多様性が高かった。一方で動物園の世代の比較では、違いは世代が進むにつれて増加しなかった。したがって動物園の子ゾウがより母親との距離を保ち、多様な行動を行うのは、世代間伝達によるものではなく、安全な動物園の環境に適応したからだと考えられる。これは他の文献でも報告されている、動物園のアフリカのゾウが野生のゾウより発達が速いという点と一致する。(林)
開講日 | 2023年10月18日 13:00ー16:15 場所 | E304