Seminar

論文紹介(藤田)

学部4年の藤田くんが論文紹介をしました。

 

Facial expression and oxytocin as possible markers of positive emotions in horses
「ウマの表情とオキシトシンが、ウマのポジティブ感情のマーカーとして機能する可能性」
Lansade, L., Nowak, R., Lainé, A. L., Leterrier, C., Bonneau, C., Parias, C., & Bertin, A.(2018).Scientific Reports, 8, 14680.  https://doi.org/10.1038/s41598-018-32993-z

動物のポジティブ感情に関わる行動学的・生理学的指標については、まだほとんど研究されていない。本実験では、対照的な感情を引き起こす2つの触覚刺激を用いて、ウマにおける新しいマーカーを探索した。優しい(Gentle)条件の方では、ウマは、11セッションにわたって、ウマが最も好む部分に優しく毛繕いがなされたが、もう一方の標準的な(Standard)条件では、ウマによっては忌避反応を見せるような決まったやり方で、毛繕いがなされ、ウマの反応に応じて毛繕いのやり方を変えることはなかった。11セッション目では、優しい条件のウマでは、標準的な条件のウマでよりも、実験者に対して接触を求める行動が有意に多く見られ、標準的な条件のウマでは、回避反応が有意に多く見られた。血液中のコルチゾールやオキシトシン濃度、心拍数、心拍変動には差が見られなかった。しかし、計11回のセッションの後、優しい条件での方が、オキシトシンレベルが有意に低かった。これは予想外の結果ではあるが、オキシトシンのレベルの低さが
福祉のマーカーになりえるという我々の仮説を支持するものである。また、毛繕い中のウマの表情を分析した結果、条件間で有意な違いが見られた。実験から一年後、再度同じ実験を実施したときにも、それぞれの条件に一致したウマの表情が確認されたことから、ウマの表情はその他の行動指標よりも感情をより反映するのではないかと考えられる。(藤田)

開講日 | 2021年10月27日 13:00 ~ 16:00 場所 | E304