論文紹介(和田)
修士1年の和田が論文紹介をしました。
Communication is key: Mother-offspring signaling can affect behavioral responses and offspring survival in feral horses
「コミュニケーションは重要:半野生馬において母子間の発声は行動的な反応と子ウマの生存に影響する」
Nuñez, C. M., & Rubenstein, D. I. (2020). Communication is key: Mother-offspring signaling can affect behavioral responses and offspring survival in feral horses (Equus caballus). PloS one, 15(4), e0231343. DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0231343
音声信号のやりとりは母子間の認知とその後の絆形成において重要な役割を果たす。しかし、母子が同じ方法で音声信号を用いているかどうか、また、子ども期を通して、とくに母親による認知が適切に形成された後に、同じ理由で発声しているのかどうかは未だ不明である。さらに、母子間の絆形成における重要な役割を除くと、母子間のコミュニケーション戦略が子どもの生存に影響するのかどうかを検討した研究はない。本研究では、半野生馬 (Equus caballus) の母子のコミュニケーション様式を調査し、1)生後1年間の母子間コミュニケーションのはたらき、2)母親、または子どもが開始するコミュニケーションの機能、および3)子ウマの生存に対する母子のコミュニケーションの重要性、について検討した。これらの検討から、1)母子間で、コミュニケーションをいつ、どのように開始するかが異なったこと、2)母親、または子どもが開始したコミュニケーションの結果は、一貫して異なっていたこと、3)母子間のコミュニケーション様式は、子どもの生後1年間の生存において重要であったこと、が示唆された。さらに、子どもの行動とその後の生存に対する母親の活動の影響を考えると、本研究の結果は「子ども期に見られる(母親、および子どもによる)行動は、子どもに対して即時的な、または遅延した利益をもたらすのか?」という、長年議論されていた疑問に対し、これまでにない答えを提供する。つまり、本研究では1)母子間コミュニケーションのダイナミクス、2)母子のコミュニケーション様式は子どもの生存に重要なのか、3)哺乳類の子ども期の機能に対する我々の調査の示唆、をより理解することを目的とした。本研究の結果は、これらの目的が達されたことを示した。(和田)
開講日 | 2021年10月13日 13:00 ~ 16:00 場所 | E304