Seminar

輪読会⑤「コミュニケーションをめぐる生物学」第4章+論文紹介(山本)

2019年度第5回輪読会として、「コミュニケーションをめぐる生物学」の第4章(嗅覚(匂い)信号とコミュニケーション)を3年生の和田さんが発表しました。また、4年生の山本くんが論文紹介をしてくれました。

Sociality increases juvenile survival after a catastrophic event in the feral horse (Equus caballus)
社会性は大惨事後における半野生馬の子どもの生存率を上昇させる
Nuñez, C.M.,Adelman, J.S.,& Rubenstein, D.I.Behavioral Ecology (2015), 26(1), 138–147. doi:10.1093/beheco/aru163
 いくつかの社会的な種において成熟個体の関係は、個々の適応度と関連付けられてきた。子どもの関係や適応度に影響しうる仕組みについて知られていることは少ない。我々は半野生馬において、社会性の少年期生存率への影響について調査した。我々は、ウマの総数の40%が一度にいなくなるという大惨事に対して、仔ウマが生き抜く社会性の重要さを評価するために、仔ウマのdegree(関係の数)と、仔ウマのweight(相互作用の数)を用いた。我々は、①仔ウマのdegreeは、仔ウマのweightよりも生存率の予測因子になったこと。②少なくとも一頭の親、もしくは同年代群と一緒にいる仔ウマは、そのような個体がいない仔ウマよりも生存率が高かったこと。③事前、さらに事後のdegreeが高い個体と一緒にいる仔ウマは、より生存率が高かったこと。④事前のdegreeの影響は、両親や同年代群がいない仔ウマたちの間でより明確になったこと。⑤事後のdegreeの影響は、両親や同年代群の有無にかかわらず全ての仔ウマの生存にとって重要であった、ということを発見した。これらの結果を、少年期の社会ネットワークに与えられた新たな知見とする。さらに我々の研究は、仔ウマが成長過程において、親の助けから離されたという点で特徴的である。したがって、我々は少年個体の反応に対する親の行動を分けることができ、「若年の哺乳類によって示された行動は、すぐ、“さらに/それとも”将来に利益を与えるのだろうか」という問題に直接的に問うことができる。(山本)

開講日 | 2019年05月29日 14:45~18:00 場所 | E304