Seminar

論文紹介(馬場)・卒論相談会(ワイルズ)

Familiarity and group size affect emotional stress in Japanese Black heifers
「親密さとグループサイズが日本黒雌牛における情緒的ストレスに影響を与える」
Takeda, K.,Sato, S., & Sugawara, K.(2003) Applied animal behavior scaience; 82, 1-11.
DOI:https://doi.org/10.1016/S0168-1591(03)00039-X

本研究では2個体または5個体の親密な雌牛のグループと、非親密な雌牛のグループ間における、情緒的ストレスに対する行動的反応と心臓反応を比較した。14個体の日本黒雌牛が互いに既知の2個体のグループ(F2) 2つと、既知の5個体のグループ (F5) 2つに分けられた。4個体のホルスタイン雌牛が、対象個体が一度も会ったことのない未知グループ (UF2, UF5) を形成するのに使われた。参加個体は、心拍計を付けられ、実験場所の中のテストルーム (5.5m×10.0m) に入れられた。各個体は単馬房の中に繋がれ、対象個体は2つのビデオカメラで観察された。本研究では雌牛に対して3つのストレステスト-(1)新奇性テスト(見知らぬ物体に遭遇する)、(2)サプライズテスト (大きな音を聞く)、(3)葛藤テスト(配合飼料を食べようとする)-をデザインした。最初のテストでは、赤い紙人形が10分間対象個体に呈示された。2つ目のテストでは、一定の重りを入れたブリキのバケツが天井 (高さ5m)から対象個体の斜め前に落とされた。3分後3つ目のテストが実施され、針金で網状に覆われた、飼料の入った食糧容器が各個体の前に10分間配置された。一連のテストは、UF5、UF2、F5、F2の順に実施された。新奇性テスト、葛藤テストにおいて行動反応に対する親密さの影響が有意に見られた。さらに、サプライズテスト、葛藤テストにおける心臓反応について、親密さだけでなく、親密さとグループサイズの交互作用も見られた。特に、2つのテストの間の平均心拍数がF5グループにおいて最小であった。本研究の結果は、親密さとより大きなグループサイズの両方が情緒的ストレスを減少させる可能性と親和的な5個体の集団が2個体のグループよりも高いcalming effectを持つことを示唆している。(馬場)

開講日 | 2018年11月14日 14:45~ 場所 | E304