Seminar

論文紹介(小原)+α

論文紹介(小原)+α(プレ卒論のざっくりした希望・方向性確認、検討会までの準備指示)

Oxytocin gaze positive loop and the coevolution of human dog bonds
(ヒトとイヌが見つめあうことで形成されるオキシトシンポジティブループとヒトとイヌの共進化)
Nagasawa, M., Mitsui, S., En, S., Ohtani, N.,Ohta,M., Sakuma,Y., Onaka.T., Mogi,K., & Kikusui,T.(2015) Science, 348, 333-336

相互に視線を送るといった、ヒト(Homo sapiens)のようなコミュニケーション能力を、イヌ(Canis lupus familiaris)はヒトに家畜化される過程で獲得したのであろう。我々はイヌから飼い主を見つめる行動がイヌの尿中のオキシトシン濃度を増やしたことと、オオカミ(Canis lupus)では見られることがなかったことを示した。さらに、イヌが飼い主を見つめる行動は、飼い主とイヌの連帯感を促進させ、イヌのオキシトシン濃度を増やした。また、鼻からオキシトシンを与されたイヌは、飼い主を見つめる行動を多く行うようになった。そして、飼い主の尿中オキシトシン濃度も増えた。本実験よりイヌが見つめることによって、ヒトとイヌの異種間で、オキシトシンを介したポジティブループの形成が促進され、調整されることを示した。ヒトとイヌの絆の共進化は、社会的接触を用いたコミュニケーションをヒトとイヌが共有したために進んだのではないか。(小原)

開講日 | 2016年11月02日 14:45-18:00 場所 | E304