Seminar

研究紹介及び進捗報告(安達)・卒業研究についての相談(上河内)・卒業研究の進捗報告(舟根)・論文紹介(杉林)

学術研究員の安達さんが研究紹介と進捗報告を行い、4年生の上河内さんが卒業研究についての相談、同じく4年生の舟根さんが進捗報告を行いました。

また、3年生の杉林さんが論文紹介を行いました。

 

Neurobiology of parent-infant relationships in rodents and primates
 齧歯類と霊長類を用いた親子関係の神経科学  
矢野(梨本)沙織 ・黒田公美(2023). The Japanese Journal of Animal Psychology, 73,2,35-49.
 
 
Abstract
 

哺乳類の中でも、乳児は未熟な状態で生まれ、生存のためには親の世話が必要である。乳児は、生得的に養育者との近接を保とうとする動機を持っており、身体的な接近や欲求を伝えるシグナルを通じてそれを実現する。これらの行動は総称して「愛着システム」と呼ばれ、乳児の愛着行動は、養育者の親行動を促進する。

本稿では、ヒトの親行動および愛着行動のメカニズムについて、齧歯類や霊長類を動物モデルとして用いた研究を紹介する。特に、新世界ザルであるコモンマーモセット(Callithrix jacchus)は、有望な霊長類モデルである。通常の他の非ヒト霊長類とは異なり、マーモセットは母親だけでなく父親や年長の兄弟姉妹を含む家族全員で乳児の世話を分担する。彼らの親行動や愛着行動には、人間と多くの類似点がある。

さらに、本稿では、人為的に飼育されたマーモセットに見られる非定型的な行動についても議論する。これは、人間における無秩序型愛着や愛着障害と比較することで、不十分な養育のモデルとして考えられる。したがって、マーモセットは、親行動および愛着行動の脳内メカニズムを明らかにするための理想的な動物モデルであるといえる。

開講日 | 2025年05月28日 13:00~16:15 場所 | E304