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瀧本が国立民族学博物館共同研究会で講演をしました。

瀧本が、山口未花子先生(北海道大学大学院文学研究院・文化人類学研究室)主催の国立博物館共同研究会@北海道大学で講演をしました。この研究会は、国立民族学博物館共同研究「『描かれた動物』の人類学―動物×ヒトの生成変化に着目して」の一環で開催されたものです。瀧本は、サリントヤさん(北海道大学大学院文学院文化人類学研究室・博士課程)による「モンゴル牧畜社会における人間と動物の音によるコミュニケーション」についての講演にコメントし、「比較認知科学研究からわかってきた馬のコミュニケーション能力」についても話題提供しました。

国立民族学博物館共同研究プロジェクト
「『描かれた動物』の人類学―動物×ヒトの生成変化に着目して」

人はなぜ「動物」に惹かれるのか?レヴィ=ストロース(2001)が指摘するように、動物との直接的な関わりが希薄になった現代においても私たちはなぜ子供が生まれるとすぐ動物の絵本や玩具を与えるのか?これらの問いに生成変化としての「描かれた動物」が人と動物との「あいだ」の回路を開くとともにこれまでに知覚できなかったものを知覚させるものであるという可能性を検討することで迫るのが本研究の目的である。このためまず①動物をどのように知覚し、、②何によって描写するのか、③なぜ描写するのか、④描写、あるいは描写された動物はどのような場で生成し、誰に必要とされるのかという4つの問いを具体的な事例を検討することによって、重なりや空白も含めた動的なものとして捉えなおす。さらにより深くこの問題に取り組むため、他者とともに「生成変化」する人類学の手法(インゴルド)によってドゥルーズ&ガタリの提示した「動物との間に生じる生成変化によって新しい次元を開くもの」としての「動物描写」を検討する。具体的には描き手である人と、描かれる動物との間の動的な生成過程を再現し、「動物を/で/と/描く」という行為のなかで何が立ち現れるのかを身体経験や認知科学の知見を援用しながら明らかにすることでこれらの問いについて考察し新たな動物理解の地平を開拓することを目指す。