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はじめに:行動科学研究室で「心と社会の関係性」を科学しよう!

当研究室のキーワードは、「心と社会の関係性」です。様々な社会問題や対人関係の複雑さが話題に上ることが多い中、「人の心理」や「社会の仕組み」に関心を持つ皆さんも多いことでしょう。

実は、この「心」と「社会」との間には密接な関係があります。私たちの心は社会のあり方に大きく影響を受け、そして私たちの社会もまた、心を持つ私たちによって作られているのです。

当研究室には、社会心理学・進化心理学・文化心理学・行動経済学・比較認知科学・神経科学などの教員・ゼミが集まっています。専門分野は多様ですが、そこに共通しているのは、人(または動物)の心と社会との間の相互関係の解明を目指している点です。

図1. 行動科学研究室の主な研究分野

当研究室では、これらの分野の先端研究拠点として世界的にインパクトを持つ研究が日々生み出されています。皆さんも、心と社会の研究の最前線に参加してみませんか?


教員・ゼミ(研究グループ)

高橋伸幸|教授|社会心理学

20世紀後半以降、現代社会は未曾有の転換期にあります。進化の過程で様々な心の仕組みを備えるようになった人間が、今後どのような社会を形成していくのかを、実験、調査、モデル研究などから考えていきます。

大沼進|教授|環境社会心理学

環境問題や災害復興などをめぐる社会全体での合意や、公共的意思決定の受容は、どのようにすれば達成できるのでしょうか。社会調査、フィールド実験、ゲーミングなど、多様な手法を用いてアプローチしています。

結城雅樹|教授|社会心理学、文化心理学

私達が暮らしている社会の性質は、そこに暮らす私達の心にどのような影響を与えているのでしょうか。近年は、社会の変化の影響も視野に入れつつ、国際比較や地域間比較などの方法を用いて検討しています。

竹澤正哲|教授|社会心理学、文化進化論、適応的意思決定

動物と同様に人間は数十万年の進化を経て形作られてきました。人間の社会・文化も、進化の産物である人間が生み出したものです。進化を基盤として社会・文化を理解しようとする動き、進化社会科学の中で、理論と実証の双方から研究を行っています。

高橋泰城|准教授|行動神経経済学・量子意思決定理論

人の経済的意思決定の背後には、どのような心の神経メカニズムがあるのでしょうか。神経科学・心理物理・量子理論・情報理論などを用いた定式化を試みています。

瀧本彩加|准教授|比較認知科学

人間と同様に群れで暮らすウマなどの動物は、どのような心の仕組みを用いて仲間と絆を築き、助け合っているのでしょうか。その仕組みと、その仕組みがどのように発達・進化するのかを、観察・実験研究によって明らかにしようとしています。牧場での研究は本当に楽しいですよ!

中島 晃|助教|応用統計学

複雑な実験・調査データから、情報を簡潔に抽出するための統計的な分析方法、およびそのプログラムの開発を進めています。

各教員・ゼミのより詳しい情報は、 教員紹介ページをご覧ください。

どんな学生生活を送るの?

2年生:基礎的な授業を通じて、研究を行うために必要な知識とスキルを学びます。必修授業:行動科学概論、社会心理学、認知科学、研究法(統計学)、演習、実験実習など 。
3年生:ゼミに配属され、担当教員の指導の下で、自分自身の研究を始めます。演習や研究活動が中心になってきます。
4年生:個人やチームで実験や調査やフィールドワークなどの研究を行い、卒業論文を執筆します。

広びろとした研究室と豊かな研究設備

 当研究室の中心は、文学部E棟3階にあります。通常の研究室4つ分に相当する学生用の研究室の他、3部屋分のとても広いミーティングルームがあり、ゼミが行われていない時間には、学生の自習や読書、ディスカッションなどの目的で自由に利用できます。

YouTubeで研究室の内部を覗く

https://youtu.be/FB-l4z4PCGc

研究設備

行動科学研究室は「北海道大学社会科学実験研究センター」の中核組織です。
同センターの集団実験室・国際ネットワーク実験室・感覚システム実験室、fMRI装置、脳波計、視線計測装置など、豊富な実験設備が利用できます。

図2.国際ネットワーク実験室

図3.集団実験室

図4. MRI実験室

その他にも、フィールドワーク、コンピューターシミュレーション、ゲーミングなど、多彩な研究方法が用いられています。

図5. ゲーミング手法による実験の様子

図6. フィールド調査の様子

卒業論文のテーマ例

  • 人の羞恥心には文化差があるか?またその原因は?-国際比較による検討
  • 恋愛関係における情熱や嫉妬の国際比較研究
  • 他人から受けた援助を別の人にお返しすると、周囲の人たちからよく評価されるのだろうか?
  • 誰かを特別に信頼することは、相手からのお返しにつながるのか?
  • 協力行動が進化するために必要な条件を、コンピューターシミュレーションを用いて検討する
  • NIMBY施設(社会的に必要だが忌避されがちな施設)の受け入れを促進するために必要な条件とは?
  • 地域の人々に自動車以外の移動手段を使ってもらうためには、何が必要?
  • ウマは、同じ群れの他個体とどうやってよい関係を結んだり、ストレスを減らしたりしているのか?
  • イヌの気持ちを理解しようとするとき、人はどんな手がかりを用いるのか?

修士論文のテーマ例

  • The influence of relational mobility on public praise and its psychological outcomes
  • 無知のヴェールは合意形成を促進するか?:忌避施設立地問題を模したゲーミングによる検討
  • ウマにおける社会的緩衝作用の実験的検討-同種他個体及びヒトの存在はウマのストレスを和らげるのか-

より詳しい情報がほしい方へ

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