Seminar

論文紹介(田中)

4年生の田中さんが論文紹介をしました。

‘Who’s a good boy?!’ Dogs prefer naturalistic dog‑directed speech
  「誰がいい子かな?!」 イヌは自然なイヌ向けの話し方を好む
Benjamin, A., & Slocombe, K. (2018). ‘Who’sa good boy?!’Dogs prefer naturalistic dog-directed speech. Animal cognition21, 353-364.
 
Abstract
幼児向けスピーチ(Infant-directed speech、IDS)は、言語習得を助け、人間の乳児との親和性を高めるための特別なスピーチ形式と考えられています。IDSはイヌ向けスピーチ(Dog-directed speech、DDS)といくつかの特徴を共有していますが、DDSが機能的であるのか、それとも西洋文化におけるIDSの過剰適用にすぎないのかは明確ではありません。最近の研究では、DDSを使って読み上げたスクリプトに対して子犬は成人向けスピーチ(Adult-directed speech、ADS)よりも多くの注意を払ったものの、成犬には明確な好みが見られなかったことが報告されています。これに対して、自然なスピーチとより生態学的に妥当な設定を用いた今回の研究では、成犬がDDSの話者により多くの注意を払い、より親和的な行動を示したことが確認されました。
次に、DDSへのこの好みが、DDSで一般的に使われる犬特有の単語、DDSの音声特徴(プロソディ)、またはその組み合わせによって調整されているかどうかを探るために、2回目の実験を行いました。この実験では、実験1の刺激をプロソディを逆にして再現し、ADSとDDSのプロソディと内容をミスマッチさせました。結果として、スピーチの種類や内容に有意な効果は見られず、DDSの音響的特徴と犬に関連する内容の組み合わせが、自然なDDSへの好みを調整している可能性が示唆されました。
全体として、この研究の結果は、イヌ向けのプロソディとイヌに関連する内容語を含む自然なDDSが、犬の注意を高め、人間とペットの親和的な絆を強化する可能性があることを示唆しています。

開講日 | 2024年10月09日 13:00ー16:15 場所 | E304