Seminar

論文紹介(林・田中)

3年生の林くんが前回のゼミでの論文紹介の続きを、3年生の田中さんが論文紹介をしました。

Cats (Felis catus) show no avoidance of people who behave negatively to their owner
ネコは飼い主に否定的な態度をとる人を回避しない
Chijiiwa, H., Takagi, S., Arahori, M., Anderson, J. R., Fujita, K., & Kuroshima, H. (2021). Animal Behavior and Cognition, 8(1), 23-35.

Abstract
人間は、たとえその相互作用が観察者にとって直接関係のないものであっても、第三者間の相互作用に基づいた他人を評価する。このような社会的評価は人間に限ったことではない。私たちは以前、イヌが飼い主に否定的な行動をとる人を避けることを示した (Chijiiwa et al., 2015)。ここでは、伴侶動物として一般的なイエネコが、第三者との相互作用に基づいて、同様に人間を評価するかどうかを調べた。イヌの場合と同じ手順で行った。すなわち、ネコは飼い主が透明な容器を開けてものを取り出そうとして失敗し、次に、近くに座っている人に助けを求めるのを見ていた。ヘルパー条件では、2人目の人物 (ヘルパー) は飼い主が容器を開けるのを手伝ったが、一方で非ヘルパー条件では、行為者は手伝うのを拒否し、代わりに背を向けた。どちらの条件でも、飼い主の反対側に3人目の受動的な人 (中立な人) が座った。インタラクションの後、行為者と中立の人がそれぞれネコに餌を差し出し、ネコがどちらの人から餌を受け取ったかを記録した。ネコは4回の試行を行ったが、ヘルパーへの好みも、非ヘルパーへの回避も示さなかった。少なくとも、このような状況では、ネコはイヌのような社会的評価能力を持っていない可能性があると私たちは考える。なぜなら、後者とは異なり、人間と協力するように選択されていないからである。しかし、ネコの社会的評価能力に関するさらなる研究は、生態学的妥当性、特に種の社会性に関する妥当性を考慮する必要がある。(田中)  

開講日 | 2023年07月12日 13:00~16:15 場所 | E304