Seminar

論文紹介(和田)

修士2年生の和田さんが論文紹介をしました。

Captive bottlenose dolphins do discriminate human-made sounds both underwater and in the air. 
飼育下のハンドウイルカは水中および空気中で発される人工音を弁別する」
 
Lima, A., Sébilleau, M., Boye, M., Durand, C., Hausberger, M., & Lemasson, A.  (2018). Captive bottlenose dolphins do discriminate human-made sounds both underwater and in the air. Frontiers in Psychology, 9, 55.
 
Abstract:
ハンドウイルカ (Tursiops truncatus) は、集団メンバーに対して自らを特定させる、個体ごとに異なる鳴音を自然に利用している。本研究ではこの鯨類が水中で再生される人工的な個体ごとの音手がかりを学習できるか、さらにこの学習を空気中の音に一般化できるかどうかを検討した。イルカは水中の音のみを知覚し、視覚手がかりに大きく依存していると考えられていた。本研究では、7個体のイルカの群れを参加個体として、事前に学習した人工的な個体ごとの音手がかりを水中および空気中で再生したときの参加個体の行動的反応を検討した。参加個体は自らに割り当てられた音手がかりを認知し、水中で再生したときにはすぐに音源に接近したが、空気中で再生したときには自分に割り当てられた音手がかりの音源をより注視するのみで、接近はしなかった。この結果は、参加個体が空気中で音が再生されたことによる変化を検知したか、状況の新奇性に困惑したかによるだろうと予測されるが、少なくとも参加個体は自らが「対象となっている」ことは認識していた。参加個体は、別の集団メンバーの手がかりが再生されたときには、どちらの条件でも反応しなかった。本研究は、イルカが個体ごとに異なる音に反応し、この海棲哺乳類が空気中の音シグナルに対してなんらかの処理能力を持っていることについてのさらなる証拠を提供する。(和田)
 

開講日 | 2022年04月20日 13:30~16:15 場所 | E304