Seminar

論文紹介(鎌谷)・卒論発表会予行練習Part2(小野・戸松・和田)

心理学研究室の博士課程1年・鎌谷さんが論文紹介をしてくれました。また、4年生の小野さん・戸松くん・和田さんが卒論発表会の予行練習2回目を行いました。

 

Tool use and social homophily among male bottlenose dolphins
「オスのハンドウイルカ属における道具使用と社会的同類性」
Bizzozzero, M. R., Allen, S. J., Gerber, L., Wild, S., King, S. L., Connor, R. C., Friedman, W. R., Wittwer, S., & Krützen, M. (2019). Proceedings of the Royal Society B, 286(1904), 20190898.
http://dx.doi.org/10.1098/rspb.2019.0898
 
同類性行動 (Homophilous behavior) は,ヒトの友人関係の形成において中心的な役割を果たしている。個人は,血縁とは独立した,形質特性が似ている他者と社会的なつながりを形成する。そのような同類性は,西オーストラリアのシャーク湾にいるミナミハンドウイルカ (Tursiops aduncus) においてもみられており,海綿を採餌道具として使うメスは,同様な行動をするメスとよく一緒にいる。この“Sponging”は社会的に学習され,時間をかけておこなわれる行動であり,母から子へ伝わるものである。これまでの研究では,この技術の使用はメスに強く偏っていることが明らかになっている。オスがスポンジングに従事する傾向は低いのは,オトナオス特有の行動,特にマルチレベルの連合形成と両立させにくいことに起因している可能性がある。しかし,スポンジングとオスの行動との関連性については,正式には検討されていない。本研究の結果から,スポンジ行動をとるオスは,血縁度に関係なくスポンジ行動をとるオスと有意に一緒にいた。また,スポンジ行動をとるオスは,スポンジ行動をとらないオスよりも,採餌に費やす時間は有意に長く,休息や移動に費やす時間は有意に短かった。興味深いことに,社会行動に費やす時間に違いはみられなかった。本研究は,道具使用と活動の割り当ての関係について新たな洞察を与え,道具を使用するハンドウイルカの2次同盟の構成における社会的同類性を示唆した。 (鎌谷)
 

 

開講日 | 2021年01月20日