Seminar

論文紹介(吉岡・中田)

4年生の吉岡くんと竹澤ゼミ・博士1年の中田くんが論文紹介をしました。

Behavioral and physiological responses of young horses to different weaning protocols. :A pilot study.

「異なる方法で離乳した若いウマにおける行動的または生理学的な反応:予備的検討」

Erber, R., Wulf, M., Rose-Meierhöfer, S., Becker-Birck, M., Möstl, E., Aurich, J., Hoffmann, G., Aurich, C. (2012). The International Journal on the Biology of Stress, 15, 184-194.

https://doi.org/10.3109/10253890.2011.606855

 

本研究では離乳が子ウマの行動的、生理学的ストレスパラメーターに及ぼす影響を調べた。子ウマは大人ウマがいない状態で同時に離乳(グループA、n=6)、子ウマとは血縁的に無関係ではあるが親しみのある2頭の大人ウマがいる状態で離乳(グループB、n=5)、一日当たり2頭の母親を連れ去り離乳(グループC、n=6)の3条件下で離乳された。指標には行動、運動量、唾液中のコルチゾールの濃度、心拍とその変動、および体重が用いられた。グループAの子ウマは二日間の体重減少が確認され、離乳後の発声はグループBで有意に少ないことが分かった。運動量はグループAの子ウマで最も顕著にみられ、グループBの子ウマで最も少なかった。グループA,Bでは離乳日における唾液コルチゾール濃度が増加し、グループCでは二日間にわたり増加がみられた。心拍数はグループAの子ウマで最も顕著に減少がみられた。心拍変動には一貫した変化はみられなかった。コルチゾール濃度や行動から離乳におけるストレス反応を関連づけることはできたが、グループBにおいては顕著ではなかった。(吉岡)

 

Cumulative culture can emerge from collective intelligence in animal groups.
「動物集団における集合知から創発する累積的文化」
Sasaki, T., & Biro, D. (2017).  Nature communications, 8, 1-6. https://doi.org/10.1038/ncomms15049

動物集団における集合知の研究では、学習による改善の可能性が見落とされがちある。累積的文化進化(Cumulative Cultural Evolution: CCE)の枠組みの中では、知識の蓄積が集団生活の主要な利点として認識されているが、CCEと集合知の相互作用については未解明のままであった。本研究では、CCEを検証するための主要な手法である入れ替え法を用いて、集団の解答効率が世代を超えて変化するかどうかを、伝書バトを用いて検討した。その結果、世代を重ねるごとに帰巣効率は継続的に向上し、後の世代の集団は最終的にソロ個体条件と固定ペア条件の両方を超えるパフォーマンスを示した。また、帰巣ルートは伝達連鎖間よりも、連鎖内でより類似しており、世代を超えた知識の伝達が起こっていたことが示唆された。動物集団の集合知は時間かけて変化を蓄積できることが示された。さらに、本研究の結果はCCEの主要な基準を満たしており、複雑な認知に依存しないCCEの可能性を示唆している。(中田)  

開講日 | 2021年01月06日