Seminar

論文紹介(馬場)

The effect of being watched on resource aquisition in chimpanzees and human children
(チンパンジーとヒトの子どもにおける、資源獲得時に見られていることの効果)
Engelmann J. M., Herrmann E., Tomasello M.,(2016)
Animal Cognition, 19, 147-151
動物は、他者に見られていることに対し、様々に反応する。協力の文脈では、多くの理論で、評判の効果(例:協力者になりうる他個体に見られているときにより協力的になるはず)が強調されている。競争の文脈においては、競争相手になりうる他個体が見ているときに、個体は自分の強さや勇気を見せたがるだろう。本研究では、資源獲得を含む3つの実験条件におけるチンパンジーとヒトの子供を観察した。参加者は、受動的な観察者がいる条件(観察条件)、参加者と同じ課題をおこなっている自発的な観察者がいる条件(競争条件)、他個体はいるが直接見られてはいない条件(いるだけ条件)のいずれかに置かれた。チンパンジーもヒトの子供も、競争条件においては、より多くの資源を獲得した一方、ヒトの子供だけが観察条件においても(いるだけ条件に比べて)多く資源を獲得した。これらの結果は、競争を基盤とする観察者効果には進化的な連続性があることに加え、ヒトの子供においてはその協力的評判への進化的関心から生じうる観察者効果も見られることを示唆している。(馬場

開講日 | 2017年04月19日 14:45-18:00 場所 | E304