Seminar

文献紹介(庄司、工藤)

3年生の庄司さんと工藤さんが文献紹介を行いました

紹介文献

Are Eyes a Mirror of the Soul? What Eye Wrinkles Reveal about a Horse’s Emotional State

目は魂の鏡なのか?目のしわがウマの感情状態について明らかにすること

Hintze, S., Smith, S., Patt, A., Bachmann, I., & Würbel, H. (2016). PLoS ONE, 11, e0164017.

DOI: 10.1371/journal.pone.0164017

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0164017

Abstract

感情状態の有効な指標を見つけることは、動物福祉科学における最大の課題の一つだ。ここでは、内眉上げの収縮によって生じる目のしわの表情の変化が感情的な価値を反映しているかどうかを馬で調査した。馬に良い状態と悪い状態の両方を提示することで、ポジティブな感情とネガティブな感情状態を誘発し、ポジティブな感情は目のしわの表情を減少させ、ネガティブな感情は目のしわの表情を増やすという仮説を立てた。16頭の馬を対象に、良い条件(グルーミング、食事の期待)と否定的な条件(食べ物競争、ビニール袋を振る)の各条件を実施した。各条件は60秒間実施し、その前に60秒間の対照(コントロール)条件を設けた。各条件は60秒間実施し、その前に60秒間の対照(コントロール)条件を設けた。両方の時間帯を通してウマの目を撮影し、各条件・各時間帯につき、各ウマから4枚の写真を無作為に選択した。 写真は無作為な順序で提示され、条件や時間帯を知らされていない2名の実験者によって、全体的な印象、まぶたの形状、しわの明瞭さ、白目の見え方、しわの本数、眼球を通る線と最も高い位置にあるしわとのなす角度の6つの評価項目について採点された。その結果、眼球を通る線と最も高いしわとのなす角度は、グルーミング中には対照条件より小さくなり、餌をめぐる競争では対照条件より大きくなった。一方、給餌への期待条件およびビニール袋条件では、この角度に対照条件との差は認められなかった。 その他の評価項目については、有意な影響は見られなかった。以上の結果から、ウマの目のしわの表情を、信頼性を高く評価するための指標を定義することができ、そのうち「眼球を通る線と最も高いしわとのなす角度」という指標は、ウマが置かれた状況によって変化することが示された。目のしわの表情の変化は、ウマの福祉を評価する上で有用な情報である可能性があるが、さまざまな条件下で各指標の妥当性をさらに検証する必要がある。(庄司)

 

Does training style affect the human-horse relationship? Asking the horse in a separation-reunion experiment with the owner and a stranger 
トレーニングスタイルは人間とウマの関係に影響を与えるのか?飼い主と見知らぬ人による分離ー再会実験を通してウマに問う
Lundberg P., Hartmann E., & Roth L.S.V. (2020). Applied Animal Behaviour Science, 233, 105144
 
Abstract
 
本研究は、歩行段階、静止段階、飼い主/見知らぬ人との分離、そして最後に再会という段階からなる修正版ストレンジ・シチュエーション法(SSP)において、ウマが見知らぬ人に対してではなく飼い主に対して愛着に関連する行動を示すかどうかを明らかにすることを目的とした。20×14mの屋内実験場で、個人所有のウマ26頭を被験体として実験を行った。実験に加え、飼い主に対して調教方法に関する質問を行い、その結果に基づき、飼い主は、調教において主に負の強化、正の強化、あるいはその両方の組み合わせを用いているかによってグループ分けされた。飼い主はウマの性格診断アンケートにも回答した。ウマは飼い主や見知らぬ人と離れている時、再開時と比較してドアの近くで過ごす時間が長かった:(飼い主:Z = −3.46, P = 0.001、見知らぬ人:Z = 3.40, P = 0.001)ことが示され、再会時には人間のそばに寄り添おうとする傾向が見られた。ウマの心拍数は、飼い主(Z = −3.44、P = 0.001)や見知らぬ人(Z = −2.40、P = 0.016)との再会時と比較して、分離中に高かった。これらの結果は、愛着に関連する特徴の一例であり、ウマが飼い主と見知らぬ人の両方を「安心できる場所」と見なしていることを示唆している。しかし、ウマが飼い主を「安全基地」として認識しているかどうかについては、飼い主との再会時の探索行動が見知らぬ人との再会時と類似していたことから、結果は明らかではない。興味深いことに、正の強化を用いて訓練されたウマは、見知らぬ人との分離中、ドアの近くで過ごす時間が最も長かった(χ²(2) = 6.18、P = 0.045)。加えて、飼い主との分離中にも同様の傾向が見られた(χ²(2) = 5.20、P = 0.074)。また、このグループのウマたちは、再会時に、他の2つの訓練スタイルのグループと比較して、見知らぬ人の近くにいる時間(χ2(2) = 6.16、P = 0.046)や、見知らぬ人と身体的に接触している時間(χ2(2) = 8.62、P = 0.013)が長かった。ウマの性格アンケートによるスコアと飼い主との再会時の行動を相関分析したところ、有意な関連性はほとんど見られなかったが、「探究心」という特性は、飼い主への接近および耳を前に向ける行動の両方と相関していた(それぞれ rs = 0.41, P = 0.035 および rs = 0.49, P = 0.011)。耳を前に向ける行動は、「興奮性」という特性とも相関していた(rs = 0.39, P = 0.047)。加えて、「支配性」(rs = 0.46, P = 0.019)とも相関していた。したがって、本研究では、馬が人間に対して示す愛着に関連する行動が明らかになったが、これらの行動が愛着関係のすべての基準を満たしているかどうかについては、本研究の結果だけでは判断できない。(工藤)

開講日 | 2026年07月08日 13:00~16:15 場所 | E304