文献紹介(庄司、三代澤)
3年生の庄司さんと三代澤さんが文献紹介を行いました。
紹介文献
渡辺茂・菊水健史(2015)
『情動学シリーズ1 情動の進化―動物から人間へ―』
株式会社朝倉書店
発表章:4章「共感の進化」(p.100-135)
4.1 共感とは何か
・共感は個体が複数いることによって成り立つ個体間現象である。
・情動の認知は動作や表情などのコミュニケーションを用いて行われる。
・情動を理解するために、他者の気持ちが自分のどのような気持ちと一致するのか(他者と自分の情動のマッチング)がなされる。
・共感の測り方には、自律神経系の反応測定と行動の測定という2つの方法がある。
4.2 共感にはどのようなものがあるか
・共感は、他者の快を幸せとする「正の共感」、不快に感じる「逆共感」、他者の不快を自分の不快とする「負の共感」、快とする「シャーデンフロイデ」に分類される。
4.3 負の共感
・負の共感は広い種で認められている。
・共通経験は負の共感を促進したり、負の情動を軽減させたりする(社会的緩衝)場合もある。
・ラットは仲間の負の情動という嫌な刺激をなくすために仲間を助ける。
・ヒトの場合は、互恵関係に基づく救援行動もある。
・他者の負の反応を見て危ない刺激を学習することを、観察学習という。
・仲間の不幸を自らの危険信号として避けることが機能的に独立して、仲間に嫌な思いをさせたくないという”道徳”の基盤になった。
4.4 正の共感
・2個体同時に正の情動体験をさせると情動反応が促進される社会的促進効果がある。
・正の共感によって自分の経験によらず好ましいものを学習できる。
4.5 逆共感
・逆共感は、他者が自分と比較して幸福な時に感じ、背後には不公平嫌悪がある。
・ヒトは逆共感をしていることを認めたがらず、また、性差が知られている。
4.6 シャーデンフロイデ
・逆共感を感じている相手が不幸になる時にシャーデンフロイデが起きる。
・社会的地位が上位の者に対して、不幸の原因が他者自身にある場合に、シャーデンフロイデが生じやすい。
4.7 共感の及ぶ範囲
・負の共感や正の共感はある程度種を超えて生じるが、逆共感やシャーデンフロイデが及ぶ範囲は狭い。
4.8 共感の進化的意義
・ヒトは、複雑な社会を形成するために、進化の過程で共感が発達したのかもしれない。(庄司)
ジャネット・L・ジョーンズ 尼丁千津子(訳)(2021).馬のこころ ー脳科学者が解説するコミュニケーションガイド
(文献PDFはゼミ当日までにアップロード予定)
発表章:第2章「周りの世界を感知する」(pp.49-165)第3章「人間のためのウマになるよう学習する」(pp.191-284)
第2章 周りの世界を感知する
ウマは人間よりもはるかに敏感な感覚と「逃げるため」の脳を持つ動物であり、その特徴を理解して接することの重要性が述べられている。
3. ウマにはどう見えているのか
4. 視覚に関する調教
5. ねえ、聞いた?
6. 嗅覚と味覚の力
7. 知覚を結合させる
8. 感触による双方向のコミュニケーション
9. 乗馬脳をつくる
第3章 人間のためのウマになるよう学習する
人間の「もっと頑張らせたい」という目標達成型の考え方が、刺激に反応して生きるウマにとっては過度なストレスになるため、ウマの脳や欲求に合わせて無理をさせない関わり方が重要だと述べられている。
10. ウマはどのようにして学ぶのか
11. 負の強化
12. 報酬による調教
13. よい振る舞いに気づく
14. 間接的な調教
15. ゆったり構えればうまくいく
(三代澤)
開講日 | 2026年05月20日 13:00~16:15 場所 | E304