Seminar

進捗報告(安達・宮川)、論文紹介(小西)

学術研究員の安達さんと4年生の宮川さんが研究の進捗報告を行いました。
 
また、3年生の小西さんが論文紹介を行い、皆で議論しました。
The stress response of 6-month-old horses to abrupt weaning is influenced by their sex
6月齢で離乳されたウマのストレス反応に対する性別の影響
M. Wulf, E. Beythien, N. Ille, Jörg Aurich, C. Aurich (2018). Journal of Veterinary Behavior, 23, 19-24
DOI : 10.1016
 
abstract
本研究では、離乳に対する雄雌の子馬の即時反応の違いを調査した。生後6か月の子馬22頭(雄11頭、雌11頭)を母馬から突然離乳させたが、慣れ親しんだ子馬群には留まらせた。体重を測定した。離乳の2日前から7日後までの子馬の行動を観察した。コルチゾール濃度測定用の唾液サンプルは、離乳の2日前から7日後まで、午前6時、午後0時30分、午後7時に採取した。離乳当日には、離乳の1時間前から4時間後まで、30分間隔で唾液を採取した。心拍数と心拍変動性をモニタリングした。離乳により、離乳後5日目までは雌子馬の方が雄子馬よりも体重減少が大きかった(P < 0.05)が、その後は差が認められなかった。離乳後、子馬の発声は顕著に増加し、牡馬の方が牝馬よりも発声イベントが頻繁であった(日数、P < 0.001;性別、P < 0.05)。排便頻度は日数とともに変化し(P < 0.001)、牡馬でより高い頻度を示した。離乳後、子馬の臥床時間は減少した(日数P < 0.001)が、性別による影響は認められなかった。摂食時間は離乳に応じて減少した(日数P < 0.001)が、子馬の性別による影響は認められなかった。離乳は唾液中コルチゾール濃度を即時的に増加させた(P < 0.001)。この増加は性別間で差は認められなかった。しかし、実験期間中の唾液中コルチゾール濃度の日内変動パターンは、日数(P < 0.001)および性別(P < 0.05)の影響を受けた。離乳後期間において、雌子馬は雄子馬よりも唾液中コルチゾール濃度が全体的に高いという、日数×性別の交互作用が認められた(P < 0.05)。離乳は心拍数を増加させ、母馬除去直後にピークを示したが、子馬の性別は心拍数や心拍変動性に影響を与えなかった。結論として、子馬の離乳はストレスフルな出来事であり、雄雌でストレス反応が異なって現れる。本結果は、思春期前の馬においてストレスに対する行動的・生理的反応に早期の性差が存在することを示している。

開講日 | 2025年11月05日 13:00~16:15 場所 | E304