人の身体・動きの魅力とは何か?−生体工学・認知科学的アプローチによる探求−
日時:2024年6月13日(木)13:00-14:30
場所:文学部E棟3階E304室
スピーカー:田辺弘子(北海道大学大学院文学研究院心理学研究室・准教授)
タイトル:人の身体・動きの魅力とは何か?−生体工学・認知科学的アプローチによる探求−
概要:
私たちの日常生活において、身体的魅力は対人認知プロセスにおける重要な要素の一つです。これまで進化心理学的な文脈の中で、身体の魅力に関与する特徴(ウエスト・ヒップ比や腰椎角度、顔の左右対称性など)が明らかになってきました。そうした先行研究では身体画像を呈示刺激として用いていますが、日常のコミュニケーションにおける身体は、静的ではなく、生理・心理的情報を媒介する動的なソースであるといえます。そこで、人および動物にとって最も基本的な身体運動である歩行を対象として、魅力の表現・知覚に関する研究を進めてきました。本講演では、最近行った以下3つの研究の紹介をします:①自身の歩容を魅力的に表現するための動力学的ストラテジー、②歩容の魅力の統計モデル、③歩容の魅力の知覚プロセスの男女差。また、こうした研究テーマにどういう経緯で辿り着いたか(学生時代はヒトの立位制御メカニズム、つまりヒトがどのように立位姿勢を安定化しているか、について神経生理学・生体工学的手法を用いて研究していました)や、最近取り組みはじめた、様々な文脈における人の振舞いの魅力のダイナミクスに関する研究についても紹介したいと思います。