【CERSSコロキウム】社会的認知の起源をたどる―比較認知発達科学からのアプローチ
日時:2016年9月30日(金)17:00-18:00
場所:北海道大学人文社会科学総合教育研究棟W201
スピーカー:明和 政子 教授(京都大学大学院教育学研究科)
参加者:結城雅樹、大沼進、瀧本彩加、高橋伸幸、竹澤正哲、他15名(計20名)
タイトル:社会的認知の起源をたどる―比較認知発達科学からのアプローチ
アブストラクト:ヒトは、他の動物に比べて身体的に未熟な状態で生まれてきます。しかし、その外見とは対照的に、新生児はかなり精緻な自己身体表象、社会的応答能力をもっていることが明らかとなってきました。これらの能力の発達的起源について、研究者の多くは「生得的(生まれつき)」という便利な表現を使って、その謎を覆い隠してきたように思います。しかし、胎児研究の進展にともない、胎内での感覚運動学習の可能性と、出生前後の発達的連続性が見出されつつあります。私たちの研究グループは、ヒトは妊娠中期には自己受容感覚にもとづく身体表象を発達させていること、模倣の原初形態ともよべる共鳴動作が胎児期にすでに確認できることを示してきました。また、生後2年を迎える頃から、ヒトはチンパンジーとは顕著に異なるスタイルで、他個体の行為を知覚することもわかってきました。当日は、ヒトの社会的認知の個体発生をたどるとともに、その進化史的、生物学的基盤についても議論したいと思います。
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