題目: 多元的な社会的現実感の形成 −仮想世界ゲームを用いた研究−

氏名: 森本 達也

担当教員: 大沼 進


本研究は、今までの社会的現実感の研究ではあまり行われてこなかった、多元的な社会的現実感の形成について、仮想世界ゲームを用いて検討した。仮想世界ゲームを用いた理由は、 四つの地域それぞれが独立した集団として存在しながら、一つの世界を共有している状態を作り出せるからである。本研究では、従来の仮想世界ゲームに、追加ルールとしてマスメディ アを導入した。これは、社会的現実感の形成には、情報の流れやすさが影響していると考えられるからである。仮想世界ゲームにマスメディアという役割を導入することで、地域内で情 報が共有されやすくなり、他地域の情報が入りやすくなる。その結果、流言やうわさ(不確実な情報)の流通がマスメディアがないときに比べて減少する。それによって地域と地域間の 相互理解が進み、貧富の差による世界観の違い(社会的現実感の違い)が、マスメディアがない時に比べて小さくなる、という仮説を検討した。

仮想世界ゲームは4ゲーム行われ、それぞれ参加者は50名程度であり、参加者の合計は216名であった。結果として、マスメディアがあるときのほうが、マスメディアがない時 に比べ、地域間の対立が激しくなり、地域間の世界観の違いも大きかった。なぜそのような結果になったのか検討したところ、マスメディアは、地域内の情報共有を高める働きをしたが、 それが逆に、プレイヤーたちに集団間の葛藤状況であるという認識をさせてしまったと考えられる。次に、それぞれの人々が持つ社会的現実感には、地域内の標準偏差、すなわち地域内 での成員間の考え方のばらつきが影響していたということがわかった。結果として、仮想世界ゲームにマスメディアを導入することで、それぞれの地域が地域内で協力する状況であり、 地域間の合従連衡状況だという世界観を持ったと考えられる。そういった世界観を持つことで、プレイヤーが自地域以外の地域を地域単位でしか見なくなってしまい、地域を構成する 個人を見なくなってしまったといえる。


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