題目: 日本・中国・台湾におけるメタステレオタイプの差異

氏名:  郭 睿

担当教員:  山岸俊男


複雑な社会的背景を持つ日本・中国・台湾は、歴史的、政治的な面では、様々な問題が存在していながら、お互い長期的な協力関係を持っているパートナーでもある。この社会環境の中で、それぞれの国民が相手の国(地域)に信頼行動および互酬行動をどの様に生み出しているかを研究するために、インターネットを介して、この三ヵ国(地域)からの参加者が、自国(地域)からの参加者および他国(地域)からの参加者と信頼ゲーム及び質問調査を行い、接合文化実験(joint cultural experiment)を実施した。

本研究では、この三ヵ国(地域)の関係について、事後質問のステレオタイプ及びメタステレオタイプ(Vorauer,Main,and O’Connel,1998)という変数に焦点を当て、信頼と互酬行動を実験ゲームを用いて分析することが本研究の目的である。まず、信頼行動には、信頼に応える行動を引き出す効果があるかどうかを検討する。加えて、内集団に対するステレオタイプ、外集団に対するステレオタイプ、メタステレオタイプと、信頼行動および互酬行動との相関関係の分析を行う。さらに、メタステレオタイプと内集団ステレオタイプの差にも注目し、外集団からの期待や評価をどのように認識しているのかを、分析する。

結果は、日中台の参加者はいずれに関しても、信頼が信頼に応える行動を引き出すことに加え、内集団に対する信頼が高いことがわかった。また、中台の参加者は、日本人よりも内集団ひいき行動を示している。中国・台湾実験では、台湾人は一般的に中国人を外集団であると見なしているようだが、中国人は、台湾を外集団であるとは思わなかった可能性が考えられる。メタステレオタイプと内集団信頼について、中国人のみ、メタステレオタイプと内集団信頼に関係が見られた。一つの結論として、中国人は、相手からどのように見られるのかを気にする傾向があった。


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