夫婦間のコミュニケーションと満足度の調査

 

                行動システム科学科 北嶋聖子

 

                 指導教官    山岸俊男

 

 本調査の目的は、夫婦間で相手を理解することが、夫婦関係満足度に影響するという仮説を検証することである。理解度と夫婦関係満足度の相関がある、と考えた。理由は、相手のことを理解していることは、相手の欲求を正確に理解していることを意味しているので、それは、満足度に繋がると考えることができる。そこで、この点を明らかにするため調査を行った。

 相手に対する理解度を測定するために、夫婦を一組としたペアでの質問紙調査を行った。具体的には、質問項目を対照にし、自身自分に関する章と相手の回答を予想させる章の2つを用意し、相手の回答を正確に予想する度合いを理解度とした。このような指標を用いたのは、相手のことを理解していなければ、相手の回答を正確に予測することができないからである。予想の正確さは、理解度を反映しているはずである。なぜなら、相手を理解していれば、たとえ質問項目が調査者の測定したいものを測定していないとしても、その文面に対する相手の解釈の仕方まで正確に推測し、相手の回答を正確に予測できるはずだからである。

 分析に用いた尺度として、相手に対する理解度は、各質問項目の自身自分に関する質問項目と相手の回答を予想させる質問項目の差に絶対値をつけたものを足し合わせたものを使用した。

 主な結果は以下の通りである。理解度と夫婦関係満足度との相関をみた結果、理解度と夫婦関係満足度との間には相関が見られなかった。この仮説が支持されなかった理由の一つとして、理解度に正の相関のある夫婦と負の相関のある夫婦があり、これらが混在していたためではないかと考えられる。理解度には相手のポジティブな側面への理解度とネガティブな側面への理解度があるはずだが、本研究で相関が得られなかったのは、この両者を混在させてしまったためと思われる。よって、今後、この2つの側面を区別した上で、あらためて、相手に対する理解度と、夫婦関係満足度との関連を検討することが望まれる。

 


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