山岸 俊男
(北海道大学)
Culture and institutions




近年文化心理学で報告されてきているような文化固有の行動パターンは、文化心理学者の主張するような共有された意味システムの反映ではなく、制度固有の適応戦略、つまり、人々はあるパターンの行動を引き起こす誘因構造を集合的に作ってきており、その誘因構造が自己維持的であるが故にそのようなパターンの行動は安定して見られるという「制度アプローチ」の観点から説明できる。発表では、制度アプローチの例として、これまで行われてきた一連の一般交換および内集団ひいきに関する研究が報告された。さらに発表では、最近行われた日本・中国・台湾における接合文化実験について紹介され、日本では中国、台湾と比較し、内集団ひいきが小さかったが、その一方で内集団における規範の逸脱者に対して罰する傾向が強いといったような文化差が生じていた。