清成 透子
(マクマスター大学)
Punishing non-cooperators doesn't yield a solution to the problem of cooperation but rewarding cooperators does


血縁関係のない集団における人々の協力行動がなぜ可能なのかは、古くから議論されてきている。それを可能にする1つの説として罰の効力が挙げられる。しかし、罰の行使そのものにコストがかかるため、実際のところこれ自体が公共財問題といえる。よって、非協力者を罰しない人を罰するかという問題が生じる。発表では、この点を検証するために日本およびカナダで行われた実験が紹介された。そして1回限りの社会的ジレンマ状況では、人々は実際には非協力者を罰しなかった人をほとんど罰しないことが示された。しかしながら、逆に協力者に報酬を与えた人に報酬を与えるかどうかを同様の実験状況でみたところ、その割合は大きく増えた。このことから、報酬による肯定的なフィードバック(つまり間接互恵性)が血縁関係のない集団の協力行動を可能にする1つのキーファクターとなっていることが示唆された。