Shinobu Kitayama
(ミシガン大学)
Voluntary settlement and the spirit of independence
発表では、「経済的に動機づけられた自発的移住」に独立的自己観の起源があるとする仮説を検討するために、相互協調的自己観が優勢であるとされる文化にありながら、北米と同様の「自発的移住」の歴史を持つ北海道に焦点を当て、北海道生まれの北海道在住者、本州生まれの北海道在住者、本州生まれの本州在住者、北米のアメリカ人に対し、感情経験、認知的不協和、原因帰属の実験を行った結果が紹介された。この自発的移住仮説と一致し、北海道生まれの北海道在住者の傾向は、ほぼアメリカ人における傾向と同様であった。さらに、本州生まれの北海道在住者の傾向は、自己選択が関連している感情経験、認知的不協和においては、アメリカ人と同様の傾向であったが、行為主体に関する素朴理論が関連している原因帰属では、本州人と同様の傾向であった。このことからこうした素朴理論は、その環境において生育することで徐々に獲得されていくものであることが示唆された。