Mary C. Brinton
(ハーバード大学)
Analyzing choices and preferences during rapid institutional change: Young people in the Japanese labor market




文化と制度は密接に絡み合っているものであり、それが変化した際、人々の行動にどのような影響が生じるのか、人々にとってその変化に応じた行動をとるのは難しい(またはやさしい)のだろうか、そしてどのような個人にとってそれはたやすく、どのような個人にとって難しいのだろうか。発表では、90年代前半における日本の労働市場の変化に注目し、製造業の仕事が減少し、低学歴者が仕事に就けなくなったのに対し、数多くの中高年労働者に対しては依然として旧来の雇用制度が適用されているために、20代後半〜30代前半の若年層においては、高学歴でない限り正規雇用されない現状が報告された。そしてそのような変化において、日本の若年層はそのような環境の変化に応じたストラテジーを持つ必要性があるにもかかわらず、日本においては旧来のシステムに沿った「あるべきライフコース」が一種の規範として強くあり、それに逆らうのが難しいため、今のところそれが非常に困難であることが指摘された。