私たちの研究室について 研究室の生い立ち学際的な研究内容
1950年代から、欧米の社会科学の分野では、人間と社会の関係性についての実証的な研究を確立するため、人類学・心理学・社会学・ 経済学などの研究者が協力し合い学際的な研究分野を発展させてきました。そこで北海道大学でも全国に先駆けて、いままでの大学の講 座の枠にはまらないダイナミックな研究領域を作ることを目的として、1975年、北海道大学文学部哲学科から行動科学科という独立部門を新 設しました。そして1995年の文学部改組時に、講座が再構成され、「社会心理学」を研究分野の中心とした行動システム科学講座が出来ました。
現在、研究室に所属する教員たちは、日本そして欧米の第一線の研究環境を経験しているプロフェッショナルです。そして、「社会心理学」を中 心分野として、幅広い視野から研究・教育を行っています。その中でも、私たちの研究室が特に関心を持って取り組んでいるのが、「人と社会とのマ イクローマクロ関係」の解明です。社会抜きに人を語ることはできず、人抜きに社会を語ることもできません。いずれか一方だけを見ていても不十分 だというのが私たちの立場です。私たちの研究室では、この社会心理学の基本テーマの重要性を認識し、社会学・経済学的アプローチ、進化生物学・進 化心理学的アプローチ、そして比較文化・文化心理学的アプローチといった様々な手法を用いて研究をすすめています。研究内容は「なぜ人には信頼感が 必要なのか?」「なぜ人には感情があるのか?」といった疑問を解くことを目指した理論的研究から、「どうしたら環境問題に多くの人が協力したり合意形成 ができるのか?」といった研究や、「異文化理解はどうすれば可能なのか?」というような実用的なまで問題まで幅広く網羅しています。
さらに、私たちの研究室が主体となって進める研究プロジェクト「心の文化・生態学的基盤に関する研究拠点」は文部科学省の推進する21世紀COEプログ ラムとして、そして、その後継の「心の社会性に関する教育研究拠点」はグローバルCOEプログラムとして、心理学領域において採択された数少ない研究機関 のひとつとして選ばれています。これらのプログラムは、文部科学省が、分野別に少数の優れた研究・教育拠点を重点的に育成し、日本の大学の研究・教育レベルを世 界のトップにまで高めようという目的で開始されたプログラムです。心理学分野ではわずかに4校が選ばれましたが、そのなかでも私たちのプログラムでは、新しい 社会心理学の流れを生み出す、世界的な研究・教育拠点の形成を目標にしています。現在、米国スタンフォード大学やコーネル大学、ドイツのマックスプランク研 究所、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)などとの国際協力研究も進めてられています。
充実した研究環境・教育環境
大学院を選ぶ上でもっとも重要なことは、「そこにどんな教員がいて、どのような研究がされているか」ということです。私たちの研究室は、社会心理学の専門家の数が国立大学のなかで一番多いだけではなく、それぞれが、社会心理学を専門としながら、社会学・経済学・生物学・人類学などについて豊富な知識をもっています。このことを反映して、私たちの研究室では、「信頼の構造の研究」、「環境問題における社会的ジレンマの研究」、「不安という感情の社会的伝染過程の研究」、「社会的ネットワークの研究」、「集団の構造の日米間比較」、「人の顔の認知についての研究」、「認知プロセスの異文化比較研究」など、さまざまな問題を取り扱っています。詳しい研究内容については各教員のページを参照ください。
| 教員・研究員数内訳 |
| 教授 | 2 |
| 准教授 | 4 |
| 助教 | 2 |
| 研究員 | 4 |
| 教員・研究員合計 | 12 |
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私たちの教育の目標は、「大学院生に世界基準のスキルをできるだけたくさん身に付けてもらう」ということです。このような目標は欧米のトップレベルの大学院では常識的なことなのですが、日本の大学院では、必ずしも十分とは言い難いことがしばしば指摘されています。そのため、多くの場合、大学院生は指導を十分受けることができないばかりか、ほとんど独学に近い状態で大学院を卒業することになってしまうケースもあります。私たちはこのような状態をよしとはしていません。
私たちの研究室では、教員や研究員の数をできるだけ多くして社会心理学に関わる多彩な領域を網羅する一方で、大学院生数も充実させ、かつ教員、研究員を含めた研究者一人あたりの大学院生数は、他大学に比べても、はるかに少なくするよう心がけています。それはなによりも研究者が一人一人の院生に研究に必要なスキルを教えるために十分な時間を取ることを重視しているからです。大学院生の研究は基本的に教員との共同作業で行われ、私たちの研究室では「教員と大学院生」が肩を並べてデータを分析しているシーンもよく見られます。
さらに私たちの研究室では、文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された後、プログラムを推進する上での研究費を受け、充実した研究設備を整えました。分析のためのコンピュータを充実させ、大学院生一人が一台のコンピュータを使える以上の数が揃っています。また、実験室も豊富な機材が揃っており、15人同時に実験を行える集団実験室、実験参加者がそれぞれのブースに入って他大学や他国の参加者と同時に相互インタラクションをすることを可能とした国際ネットワーク実験室、そして眼球測定装置や皮膚電位反応測定装置などを備えた感覚実験室を大学院生が存分に使える環境が用意されています。
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世界基準を満たす研究内容
研究者の能力を一概に判断するのは困難ですが、一般に認められている基準としては、その研究者の論文が世界中でどれだけ多くの研究者から引用されているかがあります。私たちの研究室の教員たちが発表した論文は、1990年から現在までみただけでも、世界中の研究者から2000件以上も引用されています。この数字は、私たちの研究が世界的に貢献度が大きく、意味があると認められているということを示しているものです。
